Colloquium

リーマン多様体上の最適化アルゴリズムを用いた新しい特異値分解手法

佐藤 寛之

4月27日(金) 13時30分

行列の特異値分解問題は,目的関数を上手く設定することで,2つのシュティーフェル多様体の積からなるリーマン多様体上の最適化問題に帰着される. この問題についての解法を導出することで,既存のものとは異なる特異値分解手法を提案した. 発表では,この問題に対する最急降下法,共役勾配法,ニュートン法それぞれの利点と欠点を述べた後, 共役勾配法とニュートン法を組み合わせたハイブリッドなアルゴリズムを紹介する. 特に,ニュートン法の各反復において最も重要である,ニュートン方程式を解くというステップをそのまま実行するのが困難であるため, それを上手く回避するアイデアを詳しく説明する. また,既存のアルゴリズムで得られた特異値分解の近似解を初期点としてニュートン法を実行すると,計算機が計算できる範囲で,より良い解が高速に求められることを数値例を通して示す.