Colloquium

シュティーフェル多様体上の最適化問題に対する共役勾配法の適用

佐藤寛之

12月09日(金)13:30

行列の特異値分解は,2つのシュティーフェル多様体の積多様体上の最適化問題 に帰着できる. この最適化問題に適当な初期点を与えてニュートン法を適用すると,最適解への 速い収束が得られるが, ニュートン法は大域的な収束性を持たないため,その際の初期点は最適解からあ る程度近くなくてはならない. そこで,最初は最急降下法によって最適解に近い点を求めるという方法が考えら れるが, 実験によると最急降下法の収束性は非常に遅く,実用性に欠ける. そこで,最急降下法の代わりに共役勾配法を用いるという議論を紹介する.
発表では,まず線形共役勾配法・非線形共役勾配法について概説し,この手法が リーマン多様体上にどのように一般化されるかを述べる. その後,具体的に考えている最適化問題に適用した場合のアルゴリズムおよび数 値計算結果を紹介する.

参考文献:
[1] P.-A. Absil, R. Mahony, R. Sepulchre, Optimization Algorithms on Matrix Manifolds. Princeton University Press, Princeton, NJ, 2008.
[2] J. Nocedal, S. J. Wright, Numerical Optimization. Springer-Verlag, 1999.