Colloquium

自由度よりも少ない制御入力を持つラグランジュ制御系の配位フラットネス

佐藤 一宏

1月21日(金) 13時30分

 可制御な線形システムは、ある「静的な」フィードバックを施すことによって、常にBrunovsky標準形という単純なシステムに変換可能であることが知られている。 「静的な」フィードバックを施しても状態空間の次元が不変であるため、変換前後のシステム間に微分同相写像が定義できる。 したがって、変換前後のシステム間の軌道が一対一に対応し合うため、変換後の単純なシステムに制御を与えて、変換前のシステムに与えれた制御仕様を実現することができる。
 ところが、非線形システムの中には「静的な」フィードバックを施しても、単純なシステムに変換できないシステムがある。 そこで、コントローラーが状態を持つ「動的な」フィードバックを施して単純なシステムに変換するという方法が考案されているが、「静的な」フィードバックの場合とは異なり、変換後のシステムの方が状態空間の次元が増えてしまい、変換前後のシステム間に微分同相写像が定義できない。 しかし、もし変換前後のシステムが共に無限次元のシステムにはめ込まれていると見なすならば、その無限次元のシステム間の軌道が一対一に対応し合う可逆な写像が自然に定義できる。 フラットなシステムというのは、そのような無限次元の単純なシステムに関連したシステムである。
 フラットなシステムであるための必要十分条件は、入力と同じ数のフラット出力と言われる関数が存在することであるという事実が知られているが、そのような関数を見つける一般的な方法はまだ知られていない。
 本研究では、多くの機械システムがラグランジュ制御系と言われるシステムで記述できることから、考察するシステムをラグランジュ制御系へ制限する。 このとき、フラットの概念に対応して配位フラットという概念が定義される。 発表者は自由度よりも少ない制御入力を持つラグランジュ制御系が配位フラットであるための必要条件と、2つの十分条件を得たので、報告する。 また、配位フラットとならない出力変数の選び方についても報告する。