Colloquium

Dynamics of perturbation around inhomogeneous backgrounds in the HMF mode

山口 義幸

6月25日(金) 13時30分

熱平衡状態は統計力学によって記述することができるが、非平衡状態を記述する一般的な方法は未だなく、現在研究が進んでいる分野である。 非平衡状態の中でも、準定常状態と呼ばれる状態の寿命は粒子数のベキで長くなると言われており、実験的にも熱平衡状態ではなく準定常状態を観測する時間スケールがある。 このように応用上重要な準定常状態の理解・記述へ向けたプロジェクトの一環として、今回は準定常状態の安定性について考察する。 今回用いる Hamiltonian mean-field (HMF) モデルのように相互作用が長距離の場合は、準定常状態近くのダイナミクスは1体分布関数方程式である Vlasov 方程式でよく近似される。 自由度を無限にする極限では、準定常状態はVlasov方程式の定常状態と解釈される。 そこでVlasov方程式を定常状態のまわりで線形化することで安定性を調べる。 これまで、空間一様な定常状態の安定性はよく調べられて来たが、定常状態が空間非一様な場合には技術的な困難もありさほど研究が進んでいない。 発表では、分布関数方程式における安定性の解析方法を復習しながら、空間非一様にした場合に生じる困難とその解決方法を述べ、N体数値計算の結果との比較を示す。

備考:
本発表は、Julien Barre', Alain Olivetti (Univ.Nice, France) との共同研究の結果である。