Colloquium

磯部智宏 

BCHSH不等式の拡張と隠れた変数モデルの存在問題

1月22日(金) 13時30分

量子論の代替理論として隠れた変数理論が昔から考えられており、 どちらが正しいか検証する方法として、Bellの不等式やその改良版 としてCHSH不等式が考案された。もし、実験結果がこの不等式の 範囲に収まらなければ、隠れた変数は存在しないことになる。実際 そのような検証は行われてきた。しかし、検証され尽くしていない側 面が2つある。1つは不等式の拡張版があり得ること。もう1つは不 等式の範囲内なら本当に隠れた変数は存在するか、という問題で ある。前者についてはすでに報告したので、後者の問題について明 確な結論—不等式の範囲であっても隠れた変数は存在しない—を 得たので報告する。