Colloquium

松中宏樹

捻りを加えたKane-Scherモデルのポート・ハミルトン形式での制御

1月22日(金) 13時30分

目標は猫をモデル化したTwisted Kane-Scher modelをポート・ハミルトン形式で制御することである。Twisted Kane-Scher model とは2つの同形の軸対称な円柱が対称軸の交わる点でつながっている剛体系に,「折り曲げ」, 「同期回転」,「ねじり」の運動を許容したものである. Twisted Kane-Scher modelの配位空間はSO(3)×SO(3)と微分同相で,SO(3)を構造群とする主ファイバー束の構造を持つ.前回までの発表ではこの主束上で各種力学量を計算しラグランジュ形式の運動方程式を立て,それをハミルトン形式に書き直すことでポート・ハミルトン形式での制御の方程式を得た.全角運動量0 の下で,入力を加える場所を形状空間の変数の運動量の時間微分に限った制御では,形の制御はできても姿勢の制御ができなかった.今回は全角運動量が0以外の値をとることを許し,角運動量の時間微分にも入力を加え,形と姿勢の制御を実現したので紹介する.また各パラメータの値を変化させ,体の硬い猫や,太った猫には回転が難しいことを紹介する.

参考文献:
[1]Kenji Fujimoto,Keitaro Ishikawa,Toshiharu Sugie, "Stabilization of a class of Hamiltonian systems with nonholonomic constraints and its experimental evaluation", Proceedings of the 38th IEEE Conference on Decision and Control (CDC99), Phoenix, USA, pp.3478-3483 (1999.12)
[2]木村祐一郎,"非ホロノミックな剛体系の力学", 京都大学大学院情報学研究科 数理工学専攻修士論文(平成17年度)
[3]佐藤一宏,"ホロノーム拘束のあるポート・ハミルトン形式での制御", 京都大学工学部情報学科 数理工学コース 卒業論文(平成20年度)