Colloquium

松中宏樹

Twisted Kane-Scher model のポート・ハミルトン形式での制御

11月13日(金) 13時00分

目標は猫をモデル化したTwisted Kane-Scher modelをポート・ハミルトン形式で制御することである。Twisted Kane-Scher model とは2つの同形の軸対称な円柱が対称軸の交わる点でつながっている剛体系に,「折り曲げ」, 「同期回転」,「ねじり」の運動を許容したものである. Twisted Kane-Scher modelの配位空間はSO(3)×SO(3)と微分同相で,SO(3)を構造群とする主ファイバー束の構造を持つ.前回の発表ではこの主束上で各種力学量を計算し運動方程式を立て,また拘束が非ホロノームであることを説明した.しかしこの運動方程式はラグランジュ形式で書かれているのでポート・ハミルトン形式で制御するためにハミルトン系に書き直す必要がある.今回はまず前回得られたラグランジュ形式の運動方程式をハミルトン形式に書き直すところから始める.全角運動量が0の時は、方程式が簡単になることを示し、方程式に制御入力の項を加える.余接バンドル上でポート・ハミルトン形式の方程式を書けば式が見やすくなり,一般化正準変換はハミルトニアン に目標とする状態で極小値をとるポテンシャルを加えることに過ぎないことを説明する. この制御では形は制御できても,姿勢を制御することはできない.形と運動量の初期値をランダムにたくさん選んで,各初期値から始めた制御の結果が猫の宙返りに近いものを探し出し,なんとか猫の宙返りを実現できたのでその結果をアニメーションで紹介する.

参考文献:
[1]Kenji Fujimoto,Keitaro Ishikawa,Toshiharu Sugie, "Stabilization of a class of Hamiltonian systems with nonholonomic constraints and its experimental evaluation", Proceedings of the 38th IEEE Conference on Decision and Control (CDC99), Phoenix, USA, pp.3478-3483 (1999.12)

[2]木村祐一郎,"非ホロノミックな剛体系の力学", 京都大学大学院情報学研究科 数理工学専攻修士論文(平成17年度)

[3]佐藤一宏,"ホロノーム拘束のあるポート・ハミルトン形式での制御", 京都大学工学部情報学科 数理工学コース 卒業論文(平成20年度)