Colloquium

西野 友年 氏
(神戸大学大学院理学研究科)

行列積状態による量子状態の表現と密度行列繰込み群

7月24日(金) 13時30分

工学部8号館3階 共同第5講義室

 ハイゼンベルグスピン鎖など、一次元量子系の固有状態を数値的に 求める手法である密度行列繰込み群 (Density Matrix Renormalization Group: DMRG) は、行列積状態 を使った「量子基底状態に対する精密 な変分法」として定式化できる。重要な情報を残すという繰込み群の 伝統的な考え方を、実空間側に「階層」を見いだして応用したものだ と解釈しても良いだろう。近年、 DMRG とウィルソン繰込み群の間 に直接的な接点を見いだす理論形式「指数変型」が奥西によって提案 されている。この考えは、更に「球変型」「双曲変型」など、等質空 間上に拡張できる。古典的な実空間繰込み群と DMRG の間を「のり づけ」する MERA 形式 (Multi-Scale Entanglement Renormalization Ansatz) についても、時間があれば解説したい。