Colloquium
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ランダウ-ドゥ ジャン自由エネルギーを用いた液晶相転移の解析 松本 昇吾 4月24日(金) 13時30分
ランダウ-ドゥ ジャン理論は液晶相転移現象を説明する現象論である. ランダウ-ドゥ ジャン理論を用いた従来の研究では, 分子はただ1つのテンソル物理量(例えば慣性テンソル)を持つとして, 自由エネルギーをただ1つのテンソル秩序パラメータの関数としていた. 本研究ではランダウ-ドゥ ジャン理論を拡張し, 分子が複数のテンソル物理量(例えば慣性テンソルと電気四重極モーメント) を持っている場合に対して,自由エネルギーを定義して液晶相転移現象の記述を試みる. ただし,自由エネルギーを複数のマクロ物理量の関数として定義する際, これらのマクロ物理量が独立変数であるか否かが問題となる. 幾何的秩序パラメータは,分子の持つ複数のテンソル物理量と,それらがマクロに発現する マクロ物理量とを関係付けるものである.今回はこの幾何的秩序パラメータを用いて, 複数のマクロ物理量の独立性について論じ,ランダウ-ドゥ ジャン理論を拡張するための 条件を示す.また,実際に2つのテンソル物理量で特徴付けられるD2h対称な分子系に 対し,拡張されたランダウ理論を適用して液晶の相図を得たので, その結果を紹介する. |
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