Colloquium

微小曲率をもつ完全導体パイプ内の移動荷電粒子による電磁場生成

後藤振一郎氏(Lancaster University and the Cockcroft Institute, UK)
(Robin W Tucker氏との共同研究)

3月19日(木) 13時30分

於:京都大学工学部8号館3階 共同第6講義室

世界中に様々な粒子加速器が存在し、素粒子実験のみならず強光源として物性 実験で用いられれ、目的に応じてその高性能化が望まれている。加速器の高性 能化の一つの方向性としてビームパイプ内で加速された荷電粒子が生成する電 磁場を予測することが挙げられる。しかしビームパイプはその用途に応じて曲 げられ、数理的手法の不備から曲がった境界を考慮した電磁場の予測は困難で ある。

以上を背景に与えられた荷電粒子分布かつ与えられた空間的境界条件に対して マックスウェル方程式を解く方法をセミナーで例示する。マックスウェル方程 式は微分形式等の微分幾何学的概念を用いると座標変換の取扱いが系統的にな り解析が行いやすくなるのみならず我々の空間的な境界の摂動もこの枠組で自 然に記述される。ビームパイプは壁面が完全導体でできていると理想化し微小 曲率を有するものとする。我々はこの曲がったパイプを直線状のパイプから境 界が摂動を受けている摂動問題として微分幾何学の概念を用いて定式化し、電 磁場を摂動論により近似的に求める。

参考文献: S GOTO and R W TUCKER, "Electromagnetic Fields Produced by Moving Sources in a Curved Beam Pipe" http://arxiv.org/abs/0808.1670