Colloquium

3自由度以上のハミルトン系における不変多様体を用いた遷移レートの計算

中田 悟

1月23日(金) 13時30分

可積分系では、相空間をセパラトリクスによって 軌道の性質がことなる内側と外側の領域に分けることができる。 例として振り子を考えると、振幅運動(内側)と回転運動(外側)に分けられる。 可積分系では初期点が内側の軌道は、そのまま内側に存在し続ける。 しかし摂動をかけると、内側にあった軌道が外側に、 外側にあった軌道が内側に遷移することがある。 前回の発表では、ハミルトン系における遷移レートの計算手法である Lobe dynamics[1]とTube dynamics[2]の関係を示し、 高自由度で疑似的なLobeを構成できることをみた。 今回は、疑似的なLobeを用いた高自由度系における遷移レートの計算手法を提案 する。

参考文献:
[1]Stephen WIGGINS, "On the geometry of transport in phase space I. Transport in k-degree-of-freedom Hamiltonian systems, 2 ≤ k < ∞", Physica D 44 (1990) 471-501.

[2]A.M. OZORIO DE ALMEIDA, N.DE LEON, Manish A. MEHTA and C. Clay MARSTON, ``Geometry and dynamics of stable and unstable cylinders in Hamiltonian systems", Physica D 46 (1990) 265-285.