Colloquium

多体系の力学

松中 宏樹

10月10日(金) 13時30分

多質点系において内部運動を記述するために、各質点の位置 ベクトル全体から平行移動と回転の自由度を取り除けば、質 点系全体の基準座標系に依存しない配置を指定できる。平行 移動の自由度を取り除くには、重心系を採用すればいいが、 回転の自由度を取り除くことは簡単ではない。任意の運動に 対して、その運動が相対的に非回転となるような正規直交基 底(Eckart標構)が存在するが、Eckart標構は運動の各点で一 意に決まらないため、内部運動は論じられない。今回は内部 運動を記述する別の手法であるハミルトン系の簡約化を紹介 する。

参考文献:

T.Iwai, "A geometric setting for classical molecular dynamics",Ann.Inst.Henri Poincaré 47, 199(1987)