Colloquium

重力シートモデルにおける Lynden-Bell 統計

山口 義幸

6月6日(金) 13時30分

長距離相互作用を持つ大自由度ハミルトン系は、 熱平衡状態に緩和する前にしばしば準定常状態に長時間留まる。 Lynden-Bell 統計は、この準定常状態を記述するための統計理論である。 この理論をHamiltonian mean-field モデルに適用したところ、 理論で予測される臨界曲線は、数値計算とよく一致することが分かった。 しかしながら、重力シートモデルと呼ばれるモデルでは、 理論予測が数値計算と一致しないことが知られている。 不一致の原因は、低エネルギーのコアに属すシートと 高エネルギーのハロに属すシートに分離されることにある。 そこで本研究では、コアのみに着目した分布を構成し、 この分布が数値計算の結果とよく一致することを示す。