Colloquium

シンプレクティック簡約化と変分原理

薮 義郎

11月9日(金) 15時30分

この発表では、ハミルトン力学の次の2つの面に焦点をあてる:
(1) シンプレクティック簡約化
(2) 変分原理
この2つは実は「相性」が良くない。
例えば、相空間がある多様体の余接バンドルである場合を考えよう。このとき、ループ空間上で作用汎関数が書けて、その汎関数の臨界点はハミルトン方程式に従う。これは、古典力学の授業で習う範囲である。
では、さらにLie群のシンプレクティック作用が存在して簡約化を行った場合、簡約化方程式に対する変分原理を定式化することは可能であろうか?
答えは、「genericにはうまくいかない」、である。なぜなら、簡約化した相空間でのシンプレクティック形式は一般に完全形式でないので、そもそも作用汎関数を「素直には」定義できないからである。
この発表では、その困難に対する一つの処方箋を述べたい。