Colloquium

振動の代数理論とその古典対応

妹尾 雄介

11月2日(金) 13時30分

分子振動のエネルギースペクトルを説明する理論として、ボソンの生成・消滅演算子が作るLie代数を利用する理論が知られている。これはLie代数とその部分代数列のCasimir演算子の多項式としてハミルトニアンを構成し、それぞれの演算子から得られる量子数によって状態を書き下すものである。逆にこの方法で量子系を人為的に作ることができるが、対応する古典系がどのような系になるか、ということはあまり調べられていない。
前回の発表では1自由度の系についてsu(2)を用いてMorse振動子のハミルトニアンを導いたが、今回の発表ではそれをn自由度の系にまで拡張した結果を示す。

参考文献:
[1] 佐甲徳栄, "非線形分子振動への代数論的アプローチ",日本物理学会誌2007年3月号, p.171--177
[2] F. Iachello, R. D. Levine, "Algebraic Theory of Molecules",Oxford University Press (1995)