Colloquium

分子振動に対する代数論的方法

妹尾 雄介

7月20日(金) 13時30分

ボソンの生成・消滅演算子が作るLie代数を利用して量子力学系を記述する方法を代数論的方法と呼ぶ.これは多原子分子の高振動励起状態などの,複雑なエネルギー構造をもつ問題を取り扱う上で有効なアプローチであるとして注目されているものである.
この代数論的方法を用いると,ポテンシャルの形状を表すパラメータを仮想的に1つの自由度とみなすことにより,自由度 n の束縛系の問題を,n+1 組の生成・消滅演算子を用いて書き下すことができる.
今回の発表では,まず分子振動に対する代数論的方法の概要を説明する.そして最も簡単な例として,1次元の調和振動子とMorse振動子がどちらも u(2) を用いて定式化できることを示し,従来の解析的方法と比較する.