Colloquium

不安定多様体はどこへ行く?

中田 悟

11月30日(木) 13時30分

双曲不動点からの不安定多様体の様子を近似的に調べるCrawford`s methodは, 大自由度の力学系において数値計算結果と合致する.この手法は,不安定多様体 を近似的に構成し安定漸近点を予測する.大自由度の系では近似が低くてもよ い近似を得られるが,しかし2自由度の力学系において,近似の精度を上げても よい近似にならないものがある.そこで,Crawford`s methodが適用できない力 学系の条件を捜し出す.

今回は特に,多項式での近似を2次で打ち切った場合に適用できないものについ て調べた.一般の力学系では,簡単な条件さえ満たせば,どんな系でも適用でき ることが分かった.しかし,不動点の固有値がリンクするハミルトン系では適用 できない特殊な条件が存在する.