Colloquium

上田 健詞

11月17日(金) 13時30分

Morseポテンシャルを持つ3原子分子系は回転対称性と並進対称性を持つため, これらの自由度を落す簡約化が可能となる. 回転対称性についての簡約化に伴って, 運動エネルギーを振動エネルギーと回転エネルギーに分離できるが, 振動エネルギーの項に分子の変形が振動に影響を与える項が現れる. この項は反応定数を下げる効果を持つので,通常行われるように ポテンシャルエネルギーの障壁の高さのみで反応定数を見積もると, 実際より高く評価してしまうことになる. そのため,反応定数を下げる効果を持つ項と元のポテンシャルとを合わせた エフェクティブポテンシャルで反応定数を見積もる必要がある. Yanaoらは全角運動量が0の下で簡約化された系を主軸超球座標と呼ばれる 座標を用いて記述し,エフェクティブポテンシャルを導出した. 得られたエフェクティブポテンシャルは元のポテンシャルの鞍点を 安定化させることが示されている. 本研究では全角運動量が0でない場合を考え,安定化した鞍点の安定度が 全角運動量によって変化することを数値実験によって示す.