Colloquium

非対称性を持つ連想記憶モデルの記憶容量

早川 雄介

11月10日(金) 13時30分

シナプスの可塑性を想定して記憶を実現するモデルが知られている。 そのモデルの記憶容量は、ニューロンに記憶させるよりも格段に大きく、 またそのモデルは脳内がネットワーク構造であることも活かしている。 前回の発表では、そのようなモデルの中でも、 シナプスの対称性をもつモデルにおいて、記憶の様子を調べた結果を示した。 しかし、実際の脳内においてシナプスは非対称であるという生物学の事実がある。 シナプスの非対称性を取り入れることで、記憶容量は落ちることが予想される。 そのようなシナプスの非対称性がある脳内において 我々が実感しているような高い記憶容量がどのように実現されているのかに 興味がある。本発表では、まず前回と同様に対称性のあるモデルを導入する。 次にそのモデルの改善案を述べ、改善モデルを提示する。 そして、それぞれのモデルの記憶容量について調べるための方針を述べ、 最後にその方針に従って現在完了している数値計算の結果を提示する。

参考文献:
[1] Attractor Neural Networks Giorgio Parisi arXiv:cond-mat/9412030.
[2] Relaxation, closing probabilities and transition from oscillatory to chaotic attractors in asymmetric neural networks Ugo Bastolla, Giorgio Parisi arXiv:cond-mat/9803224.
[3] Short-Term Memory in Orthogonal Neural Networks Olivia L. White, Daniel D. Lee, and Haim Sompolinsky Physical Review Letters 92, 14 (2004).