Colloquim

多粒子系におけるエンタングルメントのクラス構造

福岡 深

1月12日(木) 16時00分

多粒子系のエンタングルメントについて考える.
エンタングルメントの特徴のひとつとして,共有に際しての排他的制限という ものがある.これは,たとえば,もし量子ビットA,Bからなる系が最大にエンタ ングルした状態にあると,どちらの量子ビットもこの状態を保ったままでは これ以上他の部分系とはエンタングルすることができない,というものである. この特徴によって,多体系では,2体系には見られないエンタングルメントの形 態が多数存在する.
しかし,多体系のエンタングルメントの構造を把握するのは非常に難しいこと がわかっている.
そこで,エンタングルメントの性質が同じものをひとまとめにすることで, 系全体のエンタングルメントの構造を把握することを考える. 具体的には,系の二つの状態が,LOCCの操作によって,非零の確率で両方向に 遷移できるとき,これらの状態は同じ性質のエンタングルメントを持っている とみなすこととし,これによりエンタングルメントのクラス, およびクラス間の構造を明らかにする.
今回の発表では多体系の例として, $2 \times 2 \times l \; (l \geq 4)$の系をとりあげ,この系における エンタングルメントのクラス構造について考察する. また,ある状態がどのクラスに属しているかを判定する方法を紹介する.