Colloquim

クーロン三体問題

佐野 光貞(京都大学大学院人間・環境学研究科)

6月17日(金) 13時30分

クーロン系における三体問題を考える。主に対象とするのは、 ヘリウム原子(電子2個、原子核1個)である。本来は量子 力学的に扱うのが正統的であるが、ここでは古典力学として の振る舞いに注目する。
クーロン系のポテンシャルは万有引 力のポテンシャルと同じように、1/rの依存性を持つ。この特 異点を持つポテンシャルのために、普通の解析方法でダイナ ミクスを解析するには限界がある。より精緻な解析には、特 異点の扱いに注意した扱いが必要になる。天体系に対して発 展させられたMcGeheeの方法はクーロン系に対しても有効であ ることが最近いくつかの仕事で分かってきている。McGeheeの 方法を使うと、三体衝突する軌道の近傍の軌道群の性質を調 べることができるようになる。
今回の話では、McGeheeの方法 を主に(古典)ヘリウム原子に応用した結果について報告する。