Colloquim

不安定周期軌道の線形成長率と大自由度ハミルトン系のリアプノフ数

後藤 振一郎

5月13日(金) 13時30分

ハミルトン系に限らず, カオス的力学系を特徴付ける量としてリアプノフ数が挙げられる.
特に発達したカオス的ハミルトン系においては, リアプノフ数を解析的に評価する方法がいくつか知られている.
今回は特に不安定周期軌道1本の線形安定性解析からリアプノフ数が求まるという予想に注目する ([Ref. 1]).
その先行研究においては, 不安定周期軌道の選び方に対しての議論は殆んどなされていなかった.
今回はその不安定周期軌道を用いる方法が, 予想するリアプノフ数が大きく変わることを, ある非線形格子力学系に対して示す.
また, 正準方程式の直接数値計算により得られるリアプノフ数を良く近似する不安定周期軌道の選択によって,
相空間内の平均的なベクトル場の様子を探れる可能性を述べる.

[Ref. 1] T. Dauxois S. Ruffo and A. Torcini,
"Modulational estimate for the maximal Lyapunov exponent in Fermi-Pasta-Ulam chains",
PRE 56 R6229 (1997).

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