Colloquim

決定論的フラクタルパターンにおけるフラクタル次元の普遍性

早川 雄介

4月22日(金) 13時30分

自然界には結晶成長・乾燥破壊・ビスカスフィンガリングなどの
フラクタルパターンがよく見られる。
フラクタルパターンの研究の第一歩としてフラクタルパターンを
生成するモデルを構築し、フラクタル次元を測定することが挙げられる。
フラクタルパターンを生成する数学的モデルとして、
ある共形写像を単位円に反復作用させるモデルが知られている。
しかしこのモデルでは、写像が持ついくつかのパラメータのうち、
角度に関するパラメータの値を反復するごとに無作為に選ぶため、
フラクタル次元を計算することが困難である。
そこで反復ごとのパラメータの選び方を決定論的に行う方法が提案された。
決定論的な方法の一つとして、winding number というパラメータを使う方法がある。
n次方程式の解となり得る無理数をn次の無理数と呼ぶことにする。
winding number が2次のどのような無理数であっても、
モデルがフラクタルパターンを生成し、
そのフラクタル次元が等しいという普遍性を持つことが知られている。
さらに、2次の無理数を有理近似し、近似の次数を変化させることにより、
フラクタル次元を測定する理論が提唱されている。
本発表では、まずその次元測定理論を導く。
次にその次元測定理論を応用することにより、winding number を3次の無理数や、
超越数である e や π としたときのフラクタル次元を調べた結果を示す。
すなわち、winding number がどんな3次の無理数でもフラクタル次元が
等しいという普遍性を持つことと、
また超越数 e と π のときのフラクタル次元は、
数値実験結果から判断する限り、初めに挙げた反復ごとのパラメータを
無作為に選ぶモデルによるフラクタルパターンのフラクタル次元と一致する
と見込まれることを示す。


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