Colloquim

変形体の最適回転

近谷 英昭

4月15日(金) 13時30分

角運動量をもつ物体は回転するが,逆は正しくない.
実際,アメーバなどの微生物は,外力を受けることなく自らの力で変形を繰り返し,
角運動量が0であるにもかかわらず,結果的に回転することができる.
これらの生物はできるだけエネルギーを使わずに変形を繰り返し,
自らを回転させているに違いない.
そこで,このような生物が変形を繰り返し,回転することをモデル化した.
簡単のために微生物は2次元であるとし,変形は線形変形であると仮定し,
2次元の変形体をある角度だけ回転させる際に,
エネルギーの散逸が最も少なくなるような変形が最適変形であると考えて,
最適化問題を解くことを目標とする.
そのために,変形の角運動量が0となる必要十分条件を求め,
次に変形に対する散逸関数を設定する.回転角が一定であるという拘束条件のもとで,
この最適化問題が磁界中の荷電粒子の運動と密接な関係があることを示し,
変分原理により最適解の満たすべき微分方程式を求め,それを解く.
しかし,この微分方程式を解くことは実際には困難であるので,
Runge-Kutta法を用いて数値解を求め,
その解に対応する変形はどのようなものであるか図示した.

今回は以上の内容を簡単に振り返った後,
2次元の物体における最適変形の一例を示すGIFアニメを御覧いただく.


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