Colloquim

2粒子N準位系を用いた量子デンスコーディングの通信路容量

福岡 深

12月10日(金) 13時30分

量子通信は量子力学の基本原理に基づく通信の方法である.
今回の発表の題材として, その中の一分野である量子デンスコーディング (quantum dense coding)と呼ばれるものをとりあげる.

量子デンスコーディングは, 量子系を用いた古典情報の伝送法で, 多粒子量子系におけるもつれ合い(entanglement)を利用するところにその特長がある. すなわち, 古典情報理論における通信路容量は, Shannonの通信路符号化定理によってその上限が与えられるが, 量子デンスコーディングによる通信では, もつれ合いという性質により, その上限を上回る通信路容量が得られるという特長である.
そこで, もつれ合いという性質がその増分の情報を持っていると考え, そのもつれ合いの度合を定量化することでデンスコーディング系における通信路 容量を求めることを考える.
また, 現実の通信において大きな問題となるのが通信路のノイズである. 従ってこのノイズによって通信路容量がどれだけ変化するのかを調べることも大 変重要となる.

発表の大まかな流れとしては以下の通りである.

まず, 簡単な例として2-qubit系をとりあげ, デンスコーディングの説明をする. 次に, 議論を2粒子$N$準位系に拡張し, その上で, 任意の量子状態とノイズのない 通信路を用いた方法,
完全エンタングルド状態と任意の量子通信路を用いた方法, それぞれについての 通信路容量を導出する.
最後に, 情報理論において重要な概念である相互情報量の量子版であるvon Neumann相互情報量について述べ, 入力系と出力系の間のvon Neumann相互情報量 が通信路容量と等しいことを見る.

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