Colloquim

有理多角形ビリアード系の古典論 +α

小川 穣 (名古屋大・物理)

11月19日(金) 13時30分

可積分系における量子古典対応が前世紀前半にトーラス量子化法により解決した にもかかわらず、今日に至るまで、非可積分系に関して明確な量子古典対応の方 法が与えられていない。古典系の「量子化」という意味において種々の跡公式は 有用ではあるが、それらはいずれも、古典系においてカオス性が非常に強い場合 にその効果を発揮する。一方、近可積分系など可積分系に近い系に対する量子化 、量子古典対応に関して、これまでに有用な結果は報告されていない。
有理多角形内でのビリアードは可積分系におけるトーラスを、ジーナス g>0 の 不変集合として持ち、従って、(近可積分系とは別の意味で)可積分系に近く、ま た可積分系を含んでいる。従ってこのクラスに対し一般化したトーラス量子化法 による量子古典対応が存在することが期待される。
このセミナーにおいて、有理多角形ビリアード系の古典系での性質を詳しく解説 するとともに、(+αとして、)量子系での性質の、点磁場との対応をお話しする。

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