Colloquim

スピン系の最短時間制御についての幾何学的考察

溝部公威

10月1日(金) 13:30-

量子計算はアルゴリズムに対応したユニタリ変換を量子系に作用させる ことによって計算を進める。このとき、デコヒーレンスの影響を最小限 におさえるために、出来るだけ短い時間でユニタリ変換を実行する必要 がある。NMR計算機では原子間の相互作用と、それぞれの原子に対して2 方向から加えられる外場の作用によって状態を遷移させる。外場の大き さは自由に大きくすることができるが、相互作用の大きさは一定である。 したがって、外場の作用だけで作ることのできるユニタリ変換は任意に 短い時間で作ることができるが、それ以外のユニタリ変換は相互作用の 働きを借りないと作ることができず、ある程度の時間が必要となる。こ の系をLie群SU(2^n)上の制御系として定式化し、幾何学的な性質を考え ることによって、目的とするユニタリ変換を実現するのにどれだけ時間 を必要かを考える。

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