Colloquim

NMR量子コンピュータにおけるアルゴリズムの最適化

中原 幹夫

7月2日(金) 13時30分

通常,量子アルゴリズムはSU(2)ゲートとCNOTゲートの「基本量子ゲート」を用いて実装される.しかしこの方法では多大なゲート数と実行時間を必要とし,デコヒーレンスの点で不利である.そこで我々は,与えられた量子アルゴリズムを短時間で実現するために,ユニタリー群の中で単位元と与えられた量子アルゴリズムを表すユニタリー行列を結ぶ測地線に沿って量子系が時間発展を行うよう制御パラメタを決定し,量子計算が短時間で実行できることを示した.実験では500MHz NMR装置(JEOL ECA-500)で13Cで置換されたクロロホルムを用い,Groverのデータベース検索アルゴリズムを実行した.その結果,基本ゲートに基づく従来のパルス列に比べ短い時間で実行できることを示した.またパルス数と実行時間が短いためスペクトルは従来のものに比べクリーンとなる.

[参考文献] M.Nakahara, Y.Kondo, K.Hata and S.Tanimura, quant-ph/0405050

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