Colloquim

量子探索アルゴリズムの幾何学的描像(射影空間における勾配方程式)

日野 英逸

6月4日(金) 13時30分

量子コンピュータは量子力学の基本原理に基づく, 既存の計算機(古典計算機)と は全く異なる計算機である. 1980年代中頃にその概念が提案され, 1994年のShor による因数分解アルゴリズムの発表以来, 理論的にも実験的にもその進歩は著し い. 今回の発表では, 量子コンピュータに用いると効率の良いとされている量子 計算アルゴリズムの一つである, Groverの量子探索アルゴリズムを題材とする. このアルゴリズムは1996年にL.K.Groverにより発表された, データベースの探索 アルゴリズムであり, 古典計算機では$O(N)$の計算量がかかる$N$データの探索 問題を, $O(\sqrt{N})$の計算量で解くことができる. また, 量子探索アルゴリズムの幾何学的研究として, 複数データを探索するように 一般化されたGroverの量子探索アルゴリズムの時間発展に伴い, 状態のvon Neumannエントロピーが単調に増大することが示されている. 今回の発表では, von Neumannエントロピーを用いて射影空間における 勾配方程式を導出し, 探索アルゴリズムにおける目的状態の射影を, その方程式の沈み込み点として特徴付ける.

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