Colloquim

多自由度Hamilton系における緩和ボトルネックの自己組織化

森田 英俊氏 (東京大学 総合文化研究科 金子研究室)

11月20日(木)13時30分

例えばタンパクのような複雑な多体系は,動的な内部状態をもち, それが系の応答(機能)に深く関与していると思われる. このような多体系における内部状態と応答との相互依存関係を 理解したいというのが,元々の動機である. 本研究では,一旦個々の複雑な対象から離れ, 簡単な抽象的モデルを用いて内部状態をもつ簡単な状況を設定し, そこでの内部状態と緩和との相互依存関係を発見的に調べた.
具体的には, ある多自由度Hamilton系の一部分を強く励起したときの緩和過程について調べた. 緩和のボトルネック――緩和が極端に遅くなる状態――が間欠的に見られた. 励起部分の局所的熱力学量を内部状態とみなすと, ボトルネックのときにはその内部状態が臨界状態にあることが分かった. また,内部状態は緩和するにつれて臨界へと向かう傾向があることも分かった. すなわち,この緩和のボトルネックは自己組織化される.
参考文献: H. Morita and K. Kaneko, cond-mat/0304649

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