Colloquim
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Relaxation and Diffusion in Hamiltonian Mean Field Model
山口 義幸
5月8日 (木) 15時00分
平均場相互作用は、典型的な長距離相互作用であり、重力や電磁気力による相互
作用をよく模倣すると思われる。また近接相互作用系であっても、ある程度ラン
ダムに相互作用を組み直すことによって、平均場相互作用系と同様の特徴を持つ
系が得られることが報告されている。それゆえ、様々な系への応用が可能である、
平均場相互作用系を調べることは重要である。また運動方程式が平均場によって
記述されるため、力が距離に依存する系に比べ少ない計算量で数値積分ができる
という利点もある。
本発表では、Hamiltonian Mean Field Model (もしくは、大域結合 XY モデル)
と呼ばれる系の時間発展に着目し、分布関数と拡散過程の考察を通して運動の
特徴付けを行う。まず、無限自由度系の mu-空間における分布関数が従う方程式
である Vlasov 方程式を導入する。有限自由度系では、初期状態は速やかに
Vlasov 方程式の安定定常状態に対応する状態に移行し、以後ゆっくりと安定定
常状態を渡り歩きながら平衡状態に向かって緩和することを示唆する結果を示す。
次に緩和過程における拡散を考察する。従来は、運動量の相関関数がベキ的とな
るためにベキ的な異常拡散が起こると言われていた。しかし、相関関数はベキ関
数よりも stretched exponential 関数でよく近似できること、および拡散の異
常は正確にはベキ的ではなく、相関関数の非定常性による過渡的な異常であるこ
とを示す。
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