Colloquim

完全WKB解の接続公式

久本 和弥

4月19日(木)13時30分

シュレーディンガー方程式は量子力学系の基本方程式であり、それを 解くことで、系の挙動を知ることができる。しかし、実際にはシュレーディンガー 方程式が解ける場合は極めて稀であり、近似解を得る努力をするのが普通である。 そのための代表的な方法としてWKB近似法が広く応用されている。ところが、 この方法によって得られる解は漸近解としての性格をもち、収束性に関する 意味づけや、適用範囲について議論がなされて来た。A.VorosはBorel総和法を 用いて、WKB近似解の数学的意味づけが可能であることを示し、現在この方法は 完全WKB解析と呼ばれている。
ここではAiry方程式を対象に、完全WKB解析と従来のWKB近似法を比較して論じる。 特にWKB近似解に対する接続公式が、完全WKB解析を通じて説明される。これにより、 Airy方程式の完全WKB解の可能な全ての接続を与えた。

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