コロキウム

時間遅れ蔵本系における非同期状態の安定性および同期状態との共存

岡田青空 氏

2019年1月17日(木) 15時00分

総合研究10号館317号室(セミナー室)

自然振動数と呼ばれる固有の振動数で振動する素子が相互作用する系において、相互作用によって振動子の実効的な振動数が一致する現象を同期現象という。蔵本モデルは同期現象を記述する結合振動子系のモデルであり、振動子間の結合強度が大きくなると、非同期状態から同期状態に転移する。自然振動数の分布関数がデルタ関数の時、任意の引力的な結合強度で非同期状態は不安定であるが、相互作用に時間遅れを導入することによって安定になる場合があることが報告されている[1]。また、自然振動数の分布関数がローレンツ関数の時、時間遅れがないと安定な同期状態と安定な非同期状態は共存しないが、相互作用に時間遅れを導入することで共存する場合があることが報告されている [1]。先行研究では、結合強度が正の場合のみ考えていたが、本発表では結合強度が負の場合も考える。自然振動数の分布関数がローレンツ関数の時、時間遅れと結合強度を表すパラメータがなす平面上で、非同期状態が安定から不安定になる境界、および安定な同期状態と安定な非同期状態が共存する領域を示す。

[1] M. K. S. Yeung and S. H. Strogatz, Time Delay in the Kuramoto Model of Coupled Oscillators, Phys. Rev. Lett. 82, 648 (1999).


Last modified: Wed Jan 16 18:03:30 JST 2019