吉田湧弥 氏
2018年10月25日(木) 13時00分
総合研究10号館317号室(セミナー室)
現実世界において，タイムラグがある，あるいは過去の履歴に依存する現象がし ばしば見られる．これらに対する数学モデルが時間遅れ系であり，これまでに多 くの研究がなされている．例えば，最近の研究 [1]では，大域的に安定なリミッ トサイクルを有するある自律的な2次元系において，時間遅れにより爆発解や無 限個の周期軌道が発生することが証明されている．また，遅れフィードバックに より不安定な周期軌道を安定化する方法はカオス制御のひとつとしてよく知られ ており，従来不可能だと信じられていた，Hopf分岐の標準形における， 正のFloquet指数が奇数個存在する不安定な周期軌道が安定化可能であることも示されている [2]．本発表では，これら2つの先行研究を紹介し，今後の研究の方針を述べる．[1] E. Ishiwata, T. Ishiwata and Y. Nakata, Delay-induced blow-up in a limit cycle oscillation mode, arXiv:1803.07815v1, 2018.
[2] W. Just, B. Fiedler, M. Georgi, V. Flunkert, P. Hövel, and E. Scholl, Beyond the odd number limitation: A bifurcation analysis of time-delayed feedback control, Phys. Rev. E, 76 (2007), 026210.