コロキウム

可逆力学系における不変測度とその選択

吉原総 氏

2016年5月12日(木) 13時30分

総合研究10号館317号室(セミナー室)

一般的に拡散現象は酔歩による確率モデルによって再現される。しかし本来それぞれの拡散粒子は確率的に運動が決まるのではなく、Newtonの運動方程式といった可逆な法則に従い運動している。そこで本発表では、可逆な力学系からどのように拡散現象が再現されるかを説明した[1]を紹介する。具体的には双曲型力学系である多重パイこね変換についての不変測度を求め、初期状態の測度が絶対連続なときに、その不変測度が拡散現象で観測されるFickの法則を満たすことを示す。

参考文献
[1] S. Tasaki, P. Gaspard,
"Fick's Law and Fractality of Nonequilibrium Stationary States in a Reversible Multibaker Map",
Journal of Statistical Physics 81 (1995) pp.935-987.


Last modified: Tue May 17 12:40:03 JST 2016