コロキウム

射影演算子法を用いた周期性の強いカオスを呈する力学系の位相変数の近似精度測定の方法

北岡 亮氏

2015年5月7日(木) 13時30分

工学部1号館317号室(セミナー室)

状態が確率的に決定される力学系を確率的力学系という。 確率的力学系を解析する際は統計力学の体系を用いるのが一般的であるが、 特に対象となる力学系の確率的な項(揺動項) を、射影演算子を用いた系の同値変形によって括りだす統計力学の手法を射影演算子法という。 射影演算子法は近年、確率的力学系のみならず、カオスや乱流を呈する力学系より、系の線形項、系の非線形部分の組織的な運動を表す記憶項、 系の非線形部分から組織的な運動を取り去った揺動項に分割する方法として体系化されている。 本発表では、まず射影演算子法の定式化を行う。 その際に系が完全な線形である場合の各項の性質および射影演算子法の問題点について言及する。 それをふまえて周期性の強いカオスを呈する力学系であるRössler 系について射影演算子法を適用し、 先で議論した線形の力学系に射影演算子法を適用した際の性質を利用することで、 Rössler 系の物理量である(近似的な) 位相変数について考察する。 以上の議論を受けて、Rössler 系の近似的な位相変数の精度について理論的な枠組みを与え、これを結論とする。

Last modified: Fri May 1 13:03:39 JST 2015