コロキウム

アマガエルの発声行動に対する数理モデルのパラメータ推定

小泉裕介 氏

2020年12月17日(木) 15時00分

Zoom会議

アマガエルの合唱を記述するモデルとして結合位相振動子系がある.このモデルは, 単独で鳴くときの自然振動数と, 鳴き交わす相手との相互作用を表す周期的な結合関数を持つ.結合関数が基本波だけの場合には,実験[1]で観測される二匹逆相同期,三匹三相同期,三匹1:2逆相同期のうち、三匹1:2逆相同期が安定にならない.結合関数が第二高調波までを持つ先行研究[1]のモデルでは三つの同期状態を安定定常にできるが,自然振動数とは異なる同期状態振動数を再現することができない.本研究では,結合関数が第三高調波までを持つ場合を考え,上記すべての同期状態が,観測で得られた振動数を持ちながら安定に存在するフーリエ係数を推定することを考える.本発表では,まず同期状態が定常かつ安定となる条件を理論的に求める.そして結合関数のフーリエ係数を勾配降下法により推定する手法を述べる.

[1] I. Aihara et al., Complex and transitive synchronization in a frustrated system of calling frogs, Physical Review E 83, 031913 (2011).


Last modified: Wed Jan 16 18:03:30 JST 2019