コロキウム

斥力相互作用する大自由度ハミルトン系における臨界指数

三木滉大 氏

2020年12月10日(木) 15時00分

Zoom会議

相互作用が長距離まで及ぶ大自由度ハミルトン系の時間発展は、粒子数無限の極限では分布関数の方程式であるVlasov方程式で記述することができる。周期的境界条件を課すと、無秩序な空間一様状態はVlasov方程式の定常解となる。定常な空間一様状態が不安定化すると秩序を持つ状態へと変化するが、この変化が起こるパラメータ点を臨界点といい、臨界点付近のオーダーパラメータのたちあがりのべきを臨界指数という。長距離相互作用系の場合、不安定な空間一様状態から熱平衡状態に緩和する過程で非熱平衡状態にしばしば長時間トラップされるため、トラップされる状態で定義される臨界指数を調べることが重要となる。空間一様状態は運動量の分布によって決定されるが、運動量分布が一山対称の場合、相互作用が引力的であれば臨界点が存在し、斥力的であれば常に安定で臨界点が存在しないことが知られている。本講演では斥力相互作用でも運動量分布が二山対称な場合には不安定化すること、およびその臨界指数を理論と数値計算で求めたのでこれを示す。

Last modified: Wed Jan 16 18:03:30 JST 2019