コロキウム

近可積分系に対する可換なベクトル場の存在のための必要条件と可積分性の判定 講演概要:

本永翔也 氏

2020年11月5日(木) 15時00分

Zoom会議

自律的な連続力学系は,独立な第一積分と可換なベクトル場が合計で系の次元分だけ存在するときBogoyavlenskij可積分であるという.そのような系はトーラス上の線形フローに変換でき,それゆえ方程式が解けることが知られている.しかし,与えられた力学系の可積分性を判定することは,ZiglinやMorales-Ramisらによる成功があるものの,一般には現在でも困難である.本発表では,可積分な系に摂動を加えた系である近可積分系に対して,第一積分や可換なベクトル場のパージステンスという観点にたって,可積分判定条件を与える.これまで近可積分系の可積分性を判定するために,摂動系が可積分な非摂動系と同じ個数の第一積分を有するための必要条件を与えていたが,今回は,摂動系が可積分な非摂動系と同じ個数の可換なベクトル場を有するための必要条件を考察する.可換なベクトル場の存在だけでは,第一積分の存在に関する議論の類似は成り立たないが,可換なベクトル場の存在よりも強い条件である可積分な状況に対する必要条件であれば,第一積分の存在のための必要条件と類似の議論により求まるので,特にこの点について述べる.

Last modified: Wed Jan 16 18:03:30 JST 2019