山中祥五 氏
2019年12月5日(木) 13時00分
総合研究10号館317号室(セミナー室)
微分方程式の可積分性は力学系理論の最も重要な研究テーマの一つである.平衡点ではない特解の近傍におけるハミルトン系の非可積分判定の手法としてMorales-Ramis理論が有名であるが,AyoulとZungによりハミルトン系とは限らない場合に拡張されている.しかし,この手法では平衡点近傍における非可積分性は判定できない.また,特解の近傍での非可積分性が示せたとしても,その力学系的な性質は明らかでない.本研究では平衡点近傍における可積分性,特に,Poincaré-Dulac標準系が可積分であるための条件を与える.さらに,ヘテロクリニック軌道の近傍における非可積分性条件と横断的なヘテロクリニック軌道が存在するための条件の関係を明らかにする.